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Channel: ゴマブッ子オフィシャルブログ「あの女」Powered by Ameba
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幸福な地獄25

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第25話ゲイバーに1人で入ってきた星野優実は自分とよく似た私のことを見つけるなり驚いた顔をしてミシェルママに『ママ・・・何なのこの女・・・何かの冗談?似すぎて怖いわ?』と言った。私も思わず席を立ち星野優実の顔をまじまじと覗き込んで本当に似ていると何故か怖い気すらしていた。それに・・・驚くべきことに星野優実の声は私の声ともよく似ていた。するとミシェルママは私と星野優実の両者を紹介するように『優実、こちらは幸子さん。ポピー子ちゃんが連れてきたお友達。幸子、こちらは星野優実。昔、アイドルやってた場末な女よ?私も幸子を見たときには優実に似すぎていて本当にびっくりたまげたわ?でもね?よく聞いてちょうだい?実はね?あんたたちは生き別れになった、姉妹だったんだよ!!!』と言った。私がミシェルママの突拍子も無い作り話に唖然としていると星野優実は『ママ、つまらないわ?くだらないこと言ってないでさっさといつものお酒出して?それがあんたの仕事でしょ?』と毒づいて席についた。ミシェルママは『んもう!!夢がない女ね。そんなんだから男が出来ないのよ、ブス!!!!!!』と言いながらワインを用意した。 この女が星野優実・・・私がいつも似てると言われ続け・・・そして私の不幸の源になっていた憎んでも憎みきれない女。この女にさえ似てなければもしかしたら私はもっと幸せな人生を送っていたのかもしれない。そうよ、この女に似ていたせいで私はバカな男達に騙されることになったのよ・・・私は憎しみの目で隣に座った星野優実を睨みつけていた。すると、私の視線に気づいたのか星野優実は『何?あたしの顔をそんなに見つめて。まさか、あんたレズ?あたしは違うわよ?正真正銘の男好きだから、変な気起こさないでよ?』と言った。私は思わず吹き出してしまった。『ちょっと、何がおかしいのよ』星野優実はワインをガブガブと飲みながらそう言った。『だって・・・あなた男好きなんて言うけど全然モテなそうな顔してる。絶対に負け犬でしょ?そうじゃなきゃこんな店に1人でくるわけがないもの』私が笑いながら言うとミシェルママが『こんな店は余計よ』と言い星野優実は『あんたに言われたくないわよ?あたしがモテなそうな顔してるならあたしにそっくりなあんたもモテない顔してるってことよ?それに、あたしはゲイバーが好きなの。普通のバーで飲んでたらその気もないのに男たちが声をかけてくるのがいちいちお断りするのが面倒でしょ?』と言って不機嫌そうな顔をした。するとずっと黙っていたポピー子さんが『優実ちゃん。もうかれこれ4年くらいの付き合いだけど、あんたの浮いた噂って一つも聞いてないよ?いつ、モテてるの?こんな店で飲んでないで、普通のバーで飲めばいいのに。どうせ、男から声なんてかけられないと思うけど』と鋭く突っ込んだ。ミシェルママは再び『ちょっと!!だからこんな店は余計よ!!』と言い、星野優実は『あああ、もううるさい女達。ゆっくり飲ませてよ』と言ってワインを一気飲みした。 星野優実は元アイドルとは思えないほどの男勝りな貫禄ぶりで私はただただ驚いていた。いや、小さい頃からチヤホヤされた女は将来、こんな風になってしまうのかもしれない。それとも女はみんな多かれ少なかれ30も過ぎればこんな風になってしまうものなのかもしれない。そう・・・私だって変わった。考え方も変わったし言いたいことも言うようになった。我慢するなんて損。言いたいことを言わなきゃ損。そうでもしないと30を過ぎた独身の女は誰からも興味なんてもたれない。誰からも気づいてもらえない・・・私と星野優実は育ってきた境遇は違っても同じような年のとり方をしたのではないかとそんな妙な親近感を私は抱きはじめていた。 すると星野優実も『あんた、苦労してきたでしょ?』と私に言った。『えっ?』私が驚いて星野優実の顔を見ると『分かるわよ。あたしも苦労して生きてきたから。顔を見れば分かるわ。あたしたちはただ似てるだけじゃない。心に傷を負って生きてきたそんな深みがあんたの顔にも出てるから・・・』と、星野優実は私の顔をまっすぐに見て言った。すると、ポピー子さんが『そういえば、幸子って不幸な星の下に生まれた女コミュに入ってるくらいだから絶対、不幸なネタを持ってる女なはず』と言い出してミシェルママまで『あらっ!!!!幸子の不幸話、あたし、聞きたいわ?だって他人の不幸は蜜の味がするのよ!!!』と、私の顔を覗き込むように言った。この人たちなら・・・この人たちなら私の過去を話してもいい。私はそんな気がして今まで私の身に起きた全ての出来事を話しはじめた。兄のこと・・・母から受けた虐待。それに中学高校と男にも女にも裏切られ続け・・・挙句にレイプされて外国人パブに売り飛ばされそしてホステスを続けながら10年も不倫関係を続けてやっと普通の仕事に就いたかと思えば結婚詐欺に遭い。気がつけば友達も恋人も頼れる家族も誰もいない孤独で会社の誰からも鬱陶しがられるような30代の女になっていたこと。私は堰を切ったように胸の中に閉まっていた悲しみや孤独の全てを今日あったばかりの人達の前でしかもゲイバーでお酒を飲みながら話していた。 全てを話し終わった頃には私ななんだかすっきりすらしていて体が軽くなったような気がしていた。ふと気づけばカウンターの中にいたミシェルママが『あんた、本当に不幸な女だね。なんだか泣けてきたわ?』と言って鼻水を垂らしながら号泣していた。ポピー子さんは『それ、mixiでネタにしてもいい?』とケラケラと笑って携帯を広げて私の話をメモ取っていた。星野優実は『本当に大変だったんだね』とだけ言って私の肩をポンと叩いてくれた。なんだか泣いてもいいんだよと言われたような気がして気がつけば私の瞳からは大粒の涙が溢れていた。最近は仕事仕事でストレスを溜め込み泣くことすら忘れていた。そうか・・・私は泣きたかったんだ。誰にも頼ることなく強くなりたくて男に負けたくなくて仕事に打ち込んででも・・・本当は誰かの胸で甘えたくて泣きたくて優しさに飢えていたんだ・・・気づかないフリをしてごまかしていた自分の本当の気持ちに気づいて私は動揺を隠せずにいるとミシェルママが『優実も話してあげなさいよ。あんたの不幸話をさ。』と言った。『嫌よ・・・なんであたしも話さなきゃいけないのよ』と星野優実は面倒な顔をしながらもポツリポツリと過去の話をしはじめた。 星野優実は母子家庭で育った。病気で体の弱かった母親が働くことが困難になり、まだ中学生だった星野優実は母親を助けるため、そして生きていくためにオーディションを受けて芸能界に入った。所属していた芸能事務所はとても小さく星野優実の人気とは裏腹に安い給料で休みなく働かされ過労で倒れることもしばしばあったが母親を助けるために文句の一つも言わずに仕事を続けていた。しかし、アイドルとしての寿命はそんなに長くは続かず芸能界からも消えかけていた頃に有名プロデューサーに歌手としての才能を再評価され、CDリリース後に大ブレイクした。そんな星野優実の存在を疎んじた大手芸能事務所はなんとか星野優実を潰そうとレコーディングスタッフに近づいた。大手芸能事務所から星野優実を潰すよう命じられてわずかな金を貰ったレコーディングスタッフは星野優実に『声がよく出るようになるから。売れてる歌手はみんなやってるんだから』と言って覚せい剤を使わせヤク中寸前になるまで星野優実に持続きをみる

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