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Channel: ゴマブッ子オフィシャルブログ「あの女」Powered by Ameba
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幸福な地獄28

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第28話(お兄ちゃん・・・)思わず口から出そうになった言葉を私はぐっと飲み込んだ。まさか・・・星野優実の婚約者が兄の真一だったなんて・・・私は絶望した。そんなばかな・・・確かに兄の真一は星野優実の大ファンで星野優実にそっくりな妹の私の布団に毎晩忍び込んでだけどだけど・・・そんな・・・私の頭は混乱していた。守田アタルが私のせいで死んでしまったこと。星野優実がそのことで私を脅迫してきたこと。そして兄、真一との再会。それと同時に私は思い出してしまった。忘れようとずっと忘れようとしてきたあの母と暮らした憂鬱で恐ろしい日々のことを。兄の真一はあの日、私のことを助けてはくれなかった。私の誕生日の日。私は母に殺されかけたのだ。そして兄の真一は私のことなど助けずに母の言いなりになって私のことを警察に突き出して病院に入院させようとしてそれでそれで私は家を飛び出して小山先生のアパートに向かったのにそこで待っていたのは中学の同級生、島田が島田の野郎が・・・あたしをレイプした。 あああああああああああああ忘れてしまいたかったのに。あの頃のことは全部全部忘れてしまいたかったのに。ずっとずっと私はがんばって生きてきたの。たった一人で傷つきながら苦しみながらもがきながら汗を流しながら涙も流しながら血を吐くような思いでずっと頑張って生きてきたの。不幸で不幸でたまらないくらい不幸な私はずっと頑張って生きてきたのに。まさか、こんな形で兄と再会するなんて。あの頃の恐怖が脳裏に鮮明に蘇ってくると私はもうその場所から動くことができなくなっていた。『優実どうした?顔色が悪いぞ?』真一は、私のことをすっかり星野優実だと勘違いしていた。『あっ、うん。何でもない・・・』恐怖に慄く私の乾ききった喉からやっと搾り出された言葉だった。私はコクンと空気を飲み込んだ。何故か胸がギュウギュウ締め付けられて呼吸するのも苦しかった。突然、兄の真一が私を抱きしめキスをした。舌がヌルヌルと口の中に押し込められた。そして私はベッドの上で兄に抱かれた。抵抗なんて出来なかった。母が見ているような気がした。毎晩毎晩、母は私の部屋を覗いていた。私の布団で眠る兄と私の様子を母は廊下からこっそりと覗いていた。怖かった怖くてたまらなかった。私を監視する母が、私を嫌う母が、今でも私のことを見ているような気がして私は硬直したまま兄の真一に抱かれた。 『愛してる、優実、愛してる・・・・兄はずっと星野優実の名前を呼び続けながら私のことを抱いた。私は遂に許されざる道を歩み始めてしまったのだ。血のつながった兄に私は抱かれ私は今まで以上に汚れそして壊れた。私が実の妹、幸子であるということ知らない兄は、何度も何度も私を強く抱いて何度も何度も私の中でイッた。もう、心も体も疲れ果て涙を流す気力さえ私には残されていなかった。逃げたい・・・もう嫌だ・・・・分からない・・・・苦しい・・・どうして・・・どうして私ばかりがこんな目に逢わなければならないの・・・部屋の照明を少し暗めにしていたせいなのかそれとも私と星野優実の身体までもが細部に渡り似ていたのか兄の真一が婚約者の星野優実だと思い込み妹の私との子作り事を済ませシャワーを浴びている最中も私はベッドから起き上がることもできないほどの放心状態だった。 (セックスが終わったらホテルの4Fにあるバーに誘うのよ?そして忘れ物をしたと言って1人で部屋に戻るふりをして私と入れ替わるの・・・)ホテルに来る途中、星野優実に言われた言葉を思い出した。私は起き上がりそして服を着た。シャワーも浴びずに服を着た。一刻も早くこの場から逃げたかった。私はシャワーを浴び終えた兄の真一をバーに飲みに行こうと誘った。そして二人で部屋を出てバーの前で忘れ物をしたから先に入っててと星野優実に言われた通り兄の真一だけをバーに行かせて私は星野優実が待つ別の部屋へと向かった。部屋に入ると星野優実が吸っていたタバコを灰皿に力強く押しつけ火を消す姿が見えた。『妊娠したらタバコをやめるフリもしなきゃね。母になるって大変よね』星野優実は眉一つ動かさずそう言うと私の目の前で信じられないようなことを言い始めた。『それで?どうだった?あたしの婚約者と寝た感想はどうだったの?』どうにもこうにも星野優実の婚約者は私の実の兄の真一で感想なんてあるはずもない。兄の真一に抱かれてそこにあったのは恐怖と絶望と血のつながった兄に抱かれて汚されてしまったという辛い記憶だけ。『どうって・・・返事に困り私がそう言うと突然、星野優実が私の頬を叩いた。パンッ!!『抱かれて気持ちよかったんでしょ?あたしの婚約者に抱かれて気持ちよかったんでしょ?満足そうな顔、してるんじゃないわよ。このメスブタ』私はびっくりして星野優実の顔を見た。その顔はそこにあった顔は私が今までに何度も見てきた嫉妬に狂う女の顔だった。 子供ができない身体の星野優実は私を脅して、外見がそっくりな私を利用して婚約者との子供を作らせようとした。星野優実はそれほどまでに子供に執着していた。愛する人の子供ができない星野優実は代わりに私に子供を産ませようと決心したのだ。けれども自分の愛する人が他の女に抱かれて嫉妬に狂っていたに違いなかった。『彼はあたしの婚約者なの。最初に釘をさしておくけど変な気を起こさないでね?分かった?分かったらとっとと帰りなさい。あたしの部屋に戻ってなさい』と言って部屋から出て行ってしまった。私は悔しくて悲しくて恐ろしくて急いでホテルを出るとタクシーに飛び乗り星野優実のマンションへと向かった。タクシーの運転手がラジオの野球中継を聞きながら巨人が負けているとか何か私に話しかけているような気がしたが私はそれどころではなかった。とんでもないことになった。私は・・・私は・・・タクシーの中でまるで迷子の少女のように小さく小さくなって震えていると私の身体の中から熱い何かが出てくるような気がした。そう、兄の真一が残した悪しき体液が私の子宮の奥からドロドロと体外へ流れ出ようとしていたのだった。私は吐き気がした。星野優実の部屋に急いで入るとシャワーを浴びた。身体中を何度も何度も洗った。兄の真一が触った髪もキスした唇も愛撫した乳房も射精した膣内も私は何度も何度も洗った。でも、何度洗っても兄の真一に汚された身体は綺麗にはならなかった。私は汚れた。本当に汚れてしまったんだ。近親相姦という言葉が身体の隅々に沁み込んでいくような気がして私は狂いそうになった。いや、本当に狂ってしまったのかもしれなかった。消毒しなくては・・・汚れた身体を消毒しなくては・・・私は体も拭かずにびしょびしょに濡れたまま浴室から飛び出して星野優実の部屋を彷徨っていた。台所でギラリと鈍く光る包丁を見つけ両手で握り刃を喉元に当ててみた。これで喉を一刺しすればラクになれるのだろうか。地獄のような苦しみから開放されるのだろうか?守田アタルはどんな気持ちで飛び降りたのだろう続きをみる

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