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Channel: ゴマブッ子オフィシャルブログ「あの女」Powered by Ameba
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幸福な地獄11

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第11話まるで女郎屋へと売り飛ばされる少女のように島田に無理矢理連れてこられた錦糸町にある外国人パブ『パンパン』で私の第2の人生が始まった。店に入った頃まだ18歳だった私は21歳と年齢を偽って働いていた。しかし、最初の半年は私は毎日泣いて泣いて自分の人生を呪い島田を呪い母や兄を呪って死んだ魚みたいにうつろな目をして働いていた。仕事も覚えなかったしママや他のホステスにもよく叱られていた。ホステスはフィリピン人やラオス人など東南アジアからやってきた出稼ぎの外人が8割で残りの2割が私と同様にチンピラに騙されて連れてこられた日本人が働いていた。客層は、これといった特徴もなく島田のようなチンピラや組の人たちも出入りしていたしなんだか怪しい会社の社長や会長もいれば外人好きな普通のサラリーマンなども足を運ぶような店だった。私は自分に自信が持てなかったしなにより自分のことが大嫌いになっていたので接客も酷く憂鬱で退屈だった。覚せい剤所持で逮捕されたアイドル星野優実に似ていたせいもあってはじめは面白半分に指名されたりもしたが体を触られたり色恋をほのめかすような営業が苦手で私はただひたすら出された酒を飲んでは酔っ払うような生活を続けていた。もちろん、隠し撮りされたビデオのことで収入の半分は島田に強請られて取られてしまっていた。そんな場末のバーでの地獄のような生活から私を救ってくれたのが客で来ていた沢田仁史だった。彼は私より一回り年上の30歳で彼が仕事の接待で初めて来店したときテーブルについたのが私だった。もちろん、私のほかにもホステスがついていたのだがその時のことは私はほとんど覚えていなかった。しかし、彼が2度目に来店したときは彼は一人で来て私を指名してくれた。それから彼は何度も店に通ってくれて私を指名してれて私も段々と彼に心を開きいつしか、色々なことを話すようになっていた。彼は優しく私の話を聞いてくれていつも気にかけてくれていた。本当なら自分のことを好きにさせて店で金を使わせるのがホステスの仕事なのに私はすっかり彼のことが好きになっていた。そして彼はいつも店でお金を使ってくれていたしプレゼントもくれたしアフターで色々ごちそうになったりもした。私は愛に飢えていたのかもしれない。島田に小山先生に一之瀬くんに、タツヤにそして兄に裏切られ母には殺されかけ人間不信になりかけていた私に私に優しく接してくれる男性なら誰でもよかったのかもしれない。いつしか、私と沢田は男と女の関係になっていった。でも、彼には奥さんと二人の小さい子供がいた。それを知っていて私は沢田と関係を持った。彼に奥さんがいても子供がいてもそんなのは関係なかった。ただ、こんな不幸のどん底にいる私に手を差し伸べてくれた沢田の気持ちが嬉しかった。時々、彼と過ごせればそれでよかった。プリティーウーマンみたいに地味で垢抜けない私の生活に沢田が精一杯の潤いを与えてくれることが嬉しかった。私は単純な女だ。男に依存することで生きる喜びを確かめることができる。それからの私は見違えるほど明るくなりそして水商売という仕事も楽しくなった。私はいつでも第三者の視点から自分を冷静に見て判断することができる女だと信じていたので彼との関係はいつでも辞められると思っていたし彼だってホステスの私になんてすぐに飽きるだろうと思っていた。だから彼の家庭を壊そうなんて考えてはいけないと思った。奥さんがそして二人の小さなお子さんには幸せでいてほしいと思った。奥さんと別れて私と結婚してほしいなんて一度だって言ったことなどなかった。でも、そう思う一方で私は沢田に愛されたいと思っていた。彼はプレゼントやお金もくれるし私のことを好きと言ってくれる。奥さんとは二人目の子供が出来てからは一度もセックスはしていないと沢田はいつもベッドの上で私に言っていた。私は嬉しかった。一度だけ・・・私は彼の奥さんのことを聞いたことがあった。彼は困った顔をして少しだけ話してくれた。名前はミネコ。家事と子育てを一生懸命やってくれる専業主婦だと彼は言った。私に気を使って妻を家政婦みたいに言ったのかもしれないが私は悔しくて胸が苦しくて沢田の肩に噛み付きながら沢田に抱かれた。それから私は絶対に家庭のことは聞かないようにすることに決めた。重たい女にだけはなりたくなかった。沢田好みの可愛い『女』でいたいと私は思っ続きをみる

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